「ミニマムで十年はここで働きたい」 中長期的な拡大にも耐えうるオフィス
WORKS52
「ミニマムで十年はここで働きたい」 中長期的な拡大にも耐えうるオフィス
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半導体設計ベンチャーであるインターチップ株式会社は、千葉と小伝馬町の2ヶ所にオフィスを構えていた。千葉オフィスの賃貸契約終了に伴って、拠点を1つにまとめる計画が浮上し、元々東京オフィスがあった小伝馬町にて新しい物件を契約したという。
新しいオフィスのあるビルは四方が道路に面しており、自然光がよく入る7階だ。「初めて見学に来た時、窓から燦燦と光が降り注いでいるのを見て、ぜひこれを活かしたいと思いました」と語るのは、移転プロジェクトを担当したH氏。壁を立てて部屋を作るのではなく、ガラスで空間を区切ることで、外からの自然光が取り込める。会議室や実験室、サーバー室など、必要な部屋が多いだけに、区切り方は大きなポイントだ。ガラスなら空間が広く見えるうえ、会議室などは外からでも誰かが中にいることを判断できて、使い勝手もいい。
会社の顔となるエントランスには、今回しっかりとスペースを確保した。旧オフィスにはなかった空間なだけに、様々なリファレンスを当たりながら、イメージを詰めていく。そこで目に留まったのは、青いグラデーションのシートを貼ったガラスだ。「ただ、イメージ通りのグラデーションがなかなか見つからなくて、色々な濃さの青いシートをグッドライフさんに探してもらいました。グラデーションの幅も悩みましたが、丁寧に付き合ってくださったおかげで、理想のエントランスが出来たと思っています」(H氏)。
Point 01
見通しはよいけれど、プライバシーも守れるレイアウト
フロアの端には、実験室とサーバー室が並ぶ。どちらも一定の温度と湿度を保たなければならない為、西日などに左右されないよう、遮光カーテンを設置。部屋の広さに対して空調の数が多く、すべて個別に調整できる物件は、こうした実験室などを併設するにももってこいだった。執務室は見通しを重視して、ほとんど空間を区切っていない。奥にある社長室の壁もガラスなので、社長の希望どおり、社員たちを近くに感じながら働ける。
ただ、旧オフィスでは一人ひとりのデスクを囲むようにパーテーションが設置されていた為、新オフィスでも同様の配置を望む声が少なくなかった。「でも、パーテーションで四方を囲むと、通路がぐっと狭くなるうえ、在席確認もしづらくなってしまいます。デスクの向きをどうするかも難しくて、執務室のレイアウトはとても悩みました」と、同じく移転担当者のI氏は振り返る。そこでグッドライフが提案したのは、120°のデスクを向かい合わせに3つ接続した“コマ”風のレイアウトだ。「インターチップ様とコクヨ社のショールームに出かけた際、こうして接続されたデスクを見かけたので、図面に落とし込んでみたんです。3席ごとの小さな島がいくつも並ぶかたちで、結果的に全体の見晴らしを守ったまま、プライバシーにも配慮することができました」(グッドライフのプロジェクトマネージャー・菅原氏)。
Point 02
柔軟なオフィス設計で、長く快適に働きたい
デスクの配置が珍しい為、インターネットなどの配線には少々苦労した。執務室内の必要な位置にピンポイントで線を出すには、丁寧な確認が必要だ。図面の段階から細かく確認し、インターチップ側にも施工前のチェックに参加してもらうことで、スムーズな進行を実現した。「こうしたいというイメージがあっても、私たちだけでは具現化できません。そこを、グッドライフさんが専門家ならではの知識と調整で、形にしてくださったと思っています」と、I氏。
続けて「短くても10年、できれば20年くらいこのオフィスで働けたら」と語る。長く使い続ける為には、柔軟に形を変えられるオフィス作りが大切だ。たとえば、エントランスのデザインはシート貼りなので、飽きたらいつでも変えられる。執務室も11島33席を設置しているけれど、このレイアウトのままあと3席は追加が可能だ。「現在の社員数は24名なので、2倍近くまで収まる計算です。その時々の社員が、心地よく働ける空間を目指していきたいですね」(I氏)。
お客様の声
「移転プロジェクトは、冗談半分で『ドラマの撮影に貸してください』と言われるようなオフィスを目指そう、と言いながら進めていました。まだそんなお話は来ていませんが、オフィスにいらっしゃるお客様がみなさん『かっこいいですね』と言ってくださるのが、とても嬉しいです」(I氏)