3つのブランドが共存する機能性の高いオフィス
Keywords
Share
ヒロタ株式会社は、洋服の企画・製造・販売を手がける総合アパレルメーカーだ。小売部門を立ち上げたのが、12年ほど前。拠点を2つに分け、それぞれに拡張を繰り返しながら、運営を続けていた。しかし、同じリテールの機能が分散してしまう為、業務の効率が悪い。社員同士のコミュニケーションも取りづらく、事業が拡大するとともに改善の必要に迫られた。そこで、2つの拠点を統合する為の移転を果たしたのが、2017年4月のことだ。
ヒロタにはブランドが3種類ある。小売部門の機能を全てまとめるには、1拠点に3ブランド分のショールームや倉庫、商談スペース、執務エリアが必要だ。「事務所を引っ越すことなど滅多にない為、私たちは素人同然。様々な事例を踏まえて、アパレルの小売事業本部にベストな提案を頂けるということで、グッドライフに決めました」(ヒロタ株式会社の移転担当者・S氏)。
エントランスを入って、左手にすぐ見えるのがショールーム。大きな部屋をラックで区切り、3ブランドの製品が美しく並んでいる。
Point 01
アパレルならではの要件を、丁寧に盛り込んでいく
同様の機能を持ってはいるものの、ブランドごとに空間を区切らなくてはならないのが、本事務所の特徴だ。たとえば、執務エリアの島もブランドごと。不公平がないように、日当たりやスペースの大きさにも細心の注意を払って、分配した。窓が近くて明るい場所には、各ブランドのデザイナーの机を置いている。また、サンプルなどの資料が多いのもアパレルメーカーならでは。時期によって量の増減が激しい為、可動式のラックを置いて解決を図った。
その奥には、ブランド共通の倉庫室が続く。「大部屋ですが、入り口は各ブランドに1つずつ設置しています。中はハンガーラックで空間を仕切り、どのブランドも平等に使いやすく仕上げているんです」(プロジェクトマネージャー・馬場氏)。
アパレルは、一人でできることが限られているという。だから、自分のデスクで働く以外の時間が長い。打ち合わせや複数での作業も多いため、出入りがしやすいよう、導線にも工夫している。もともとのオフィスは出入り口が4カ所あったが、すべてを活かすとその周辺を有効に活用できない。入り口を2カ所に減らすことで、人の流れを効率化しつつ、デッドスペースをなくした。「つぶすところと活かすところの判断がつかないので、プロの視点でアドバイスをしてくれたのが助かりました。わかりやすい図面を作ってもらえて、目で見てしっかりとイメージできたのもよかったですね」と、S氏は振り返る。
Point 02
既存設備を活かしながら、唯一無二の空間に
レイアウトを組む時は、ビルの既存設備を活かすことがベースになる。思うままに壁を立てていくと、照明や空調がうまく機能しないこともあるからだ。ビル側と消防に承認をとりながら、ベストな図面を作り上げていく。しかし、各ブランドの要望などはコンセンサスをとるのも難しく、レイアウトの決断までには時間を要した。「何十回も図面の変更をお願いしましたが、その都度嫌な顔ひとつせず対応してくれました」と、S氏。最終的には、必要な要素をしっかりと盛り込んだ、機能的なオフィスが完成した。
オフィスには、その事業の特色が表れる。多くの施工をこなし、様々な課題を解決する引き出しを持っていればこそ、どの会社にも最適なプランが提案できるのだ。