自然を身近に感じながら心地よく働ける、バイオフィリック・オフィス
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自然を身近に感じながら心地よく働ける、バイオフィリック・オフィス
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株式会社HROTTI がオフィスの移転を決めたのは、コロナ禍が一番のきっかけだったという。それまではレンタルオフィスを借りていたが、最低限働くスペースがあればいい時代は終わった。「急拡大しているベンチャー企業なので、社員はどんどん増えていきます。将来的な拡張性も踏まえながら、ソーシャルディスタンスも確保できるオフィスが必要でした。オフィスのコストをとるか、社員の健康をとるかという話で、後者をとった」と、代表取締役社長のS 氏は話す。2020 年12 月に物件を決め、1 月中の入居を目指した。いくつか見積や提案を受けた中で、スピード感に感心して発注したのがグッドライフだ。
抜けた天井に素地の壁がスタイリッシュなビルで、S 氏のオーダーは「自然をコンセプトにした、バイオフィリックデザインのオフィス」。居室エリアはグリーンを基調にして「森」を演出し、奥の会議室は白系の什器を入れて「光」を表現。天井からは、藤棚のように緑の造花をあしらっている。エントランスと隣り合うゾーンは「水」を感じさせる為に、ブルーや水色のアイテムを多く取り入れた。確かに“自然” を存在させつつ、カフェのような居心地の良さがある。
Point 01
社員が集まる場は真ん中に。執務エリアの工夫
エントランスは、会社の顔。洗練された印象を与えられるように、3 種類の床材を張るなど、デザインにはこだわった。「社員の私物を入れるロッカーは、収納というよりカウンターに見えるよう、置き方を工夫しました。今は天板にリアルな動物のぬいぐるみを増やして、動物園みたいにしようかと思っているんです」と、S 氏は笑う。
グッドライフのプロジェクトマネージャーが苦心したのは、設備の使い方だ。「ビル指定の設備工事をなるべく減らしたかったので、既存の空調や防災設備を活かしたレイアウトを考えました。目隠しの壁を立てずにエントランスのトイレを目立たなくしたり、柱を立てられない社長室には造作で天井を作って、ビスで間仕切りを止めたり……。職人さんにもご苦労をかけましたが、おかげでS 様のご要望に応えられたと思います」。
執務エリアは、将来的な人員増加に対応するべく、モバイルワーク用のスペースを充実させた。窓際の棚前にハイチェアを置き、天板をちょっとしたデスクとして使えるようにしたのだ。部屋の端には防音ブースを設置。オフィスにいてもWeb 会議などに集中できる為、社員に大人気だという。
リフレッシュエリアは、S 氏のこだわりで執務室の中央に配置した。「人が集まる場は真ん中にあるべき。くつろぐために、わざわざ部屋の隅っこに移動してほしくなかったんです。コロナが落ち着いたら、海外の企業にならって、朝食を用意するサービスもしたいと思っています。」
Point 02
最低限の機能をまず整える、柔軟な対応がよかった
移転プロジェクトが立ち上がったとき、それまでのレンタルオフィスを出て、新しいオフィスで営業を開始する日程だけが、すでに決まっていた。そこでグッドライフが優先したのは、仕事を始められる最低限の環境を早く整えることだ。「期日までに100%の工事完了は難しいけれど、デスクや椅子の代替品や電源周りなどを整えて、まずはオフィスとして機能するように力を尽くしました。社員の皆様にはご不便をおかけしたかと思います。」
だが、入居時には工事の8 割程が済んでおり、その2 ヶ月後には完納。HROTTIの業務にも大きな支障は出ていない。S 氏は、その進め方が良かったと評価する。「こちらからすれば、工事期間中のオフィス賃料ほど無駄な出費はありません。でも、今回のように工事をしながら新オフィスで働けるとなれば、まったく無駄がない。僕たちIT 業界でも、システムを作る時にいきなり完成品を出すのではなく、まずは一部の機能を提供して、少しずつ必要な機能を増やしていく形をとります。グッドライフのやり方はとても納得できるし、コストメリットが大きく、非常に助かりました」。