特にこだわったのは、制作作業を行うクリエイティブエリアだという。「絵を描く仕事をする時、周りの気配を感じると集中しづらいことがあります。誰もが自分の作業に没頭出来るよう、広いボックス席で“個室感”を出しました」(Y氏)。腰や肩に負担がかからない昇降テーブルと椅子を選んだのは、毎日長く働けるようにではなく、身体を壊さず、長期的にこの業界で活躍してもらいたいからだ。「一般的なオフィスなら、一人あたりのスペースは2.5坪程度といわれています。でも、こちらのオフィスは一人あたり約5坪。壁の厚さも通常の2倍くらいで、外の音をシャットアウトし、集中しやすい空間づくりを徹底しているんです」と、真名子氏もいう。
隣接するリフレッシュエリアは、ポップな壁や照明、什器で気分が変わり、作業の合間にゆったり休憩できる場だ。自由に食べられる軽食が並び、コーヒーメーカーの種類も多い。「会社で長く過ごす為か、デスクで仕事に関係のない動画をだらだらと眺めたり、食事をしたりしてしまうのは業界あるある。隣席の人が食べるカップ麺の香りが気になる……なんてこともザラでした。でも、心地よいリフレッシュエリアがあれば、休む時はしっかり休み、働く時は思いきり働けるはず。実際に、空間を分けたことでメリハリがつき、作業効率が上がったように感じます」と、Y氏。また、喫煙ブースがセキュリティーエリア内にあるのも珍しい。
「オフィス物件ではなく店舗物件に入居した為、水回りや空調などの工事は自由度が高かったのですが、その分施工内容はきっちりと図面に残す必要がありました。沢山の展開図や資料を作成し、細かな記録の隅々まで対応しています」(真名子氏)。